墓石に刻む文字のルールは？文字彫刻の基礎知識からお墓の形状ごとの文字例など詳しく解説！
お墓を建てると墓石に様々な文字を刻むのが一般的です。
この記事では墓石にはどんな文字が彫刻できるのか、基礎知識からお墓の形状ごとの文字例、お墓の彫刻について詳しく解説いたします。
お墓の文字彫刻とは
墓石には必ず文字を刻みます。
単独墓の場合は戒名や俗名が彫られることが多かったですが、現在は合祀墓が多いため、墓碑には家名や宗派ごとの文字を彫られることが一般的になりました。
墓石にはどんな文字、どんな書体で彫っても良いとされています。
書体の種類
書体に特に決まりはありませんが、「行書体」「草書体」「隷書体」が一般的によく使われています。自分で書いた文字を使用することもできますが、文字の刻み方には決まりがあるので、石材店に相談することをおすすめします。
墓石に刻む文字の位置とその意味
墓石に刻む内容や文字には特に決まりがありません。
近年では洋型やデザイン墓も増え、彫刻される文字も時代と共に変化しています。
ここでは、墓石の種類や位置ごとによく彫刻される文字とその意味を解説します。
棹石の正面
棹石の正面には家名や題目、好きな言葉や漢字などが刻まれます。
墓石のタイプによって選ばれる文字も異なっています。それぞれのタイプの墓石でどのような文字が選ばれているのか解説します。
和型墓石の場合
和型墓石で多く見られるのは「○○家之墓」などの家名や「南無阿弥陀仏」といった宗派による題目などです。また、個人墓の場合は戒名や俗名が彫られているケースもあります。
宗派ごとの題目
- 浄土宗・浄土真宗・天台宗
- 南無阿弥陀仏
- 真言宗
- 南無大師遍照金剛
- 臨済宗・曹洞宗
- 南無釈迦牟尼佛
- 日蓮宗
- 南無妙法蓮華経
（ひげ文字で書かれる）
洋型墓石の場合
洋型墓石には思いを込めた漢字や単語、ひらがなでの短いメッセージなど和型墓石に比べ自由に選ばれている傾向にあります。
漢字だと「心」「絆」「縁」などのシンプルで意味の伝わりやすいものが人気です。「感謝」「誠実」などメッセージ性のあるものや、故人の人柄を表すような単語が選ばれています。
ひらがなだと「ありがとう」など温かい雰囲気で親しみやすいことから人気があります。
デザイン墓石の場合
デザイン墓になると、墓石のモチーフに合わせたメッセージを彫る事が多いです。
例えば、故人が生前沖縄が好きだったとすると、「海」などの漢字の他ハイビスカスなどの花を彫ったりすることもできます。
棹石の右側
棹石の右側面は、埋葬者の戒名・没年月日・俗名・享年などが刻まれ、納骨される人が増えるごとに追加彫刻していきます。 宗派や地域によって多少異なりますが、これらの彫刻は一般的に右側に彫られるケースがほとんどです。
棹石の左側
棹石の左側面は、お墓の建立年月日・建立者が刻まれます。お墓を建てた日のほか、故人の法要の年月日を入れるケースもあります。
建立者と名義人が同じ必要はなく、細かい決まりはありません。
棹石の裏面
和型墓石の場合、棹石の裏面にお墓の建立年月日・建立者が刻まれるケースがあります。彫る位置に細かい決まりはないので、疑問点や不安がある場合は菩提寺や霊園、石材店に確認してみましょう。
墓石の文字を決める際の注意点
墓石に刻む文字に決まりはないと説明しましたが、覚えておかなければならないルールもあります。ここでは刻む文字を決める前に注意しておきたい点をご紹介します。
著作権に注意
故人が生前好きだった歌の歌詞を刻みたい、好きなキャラクターのイラストを刻みたいといった場合、著作権が関係してきます。後々のトラブルを避けるためにも、刻む文字やイラストは慎重に選ぶ必要があります。
不適切な言葉を避ける
忌み語やお墓を見た方が不快に感じる表現を刻むのは避けましょう。「うたかた」など人によって印象が異なる言葉も避けた方が良いでしょう。
規制がある寺院・霊園もある
特に和型墓石の場合、昔からの風習に倣う傾向が強いため、事前に彫刻する文字について確認しておきましょう。
墓石に刻む文字の彫刻方法
墓石に刻む文字の彫刻方法は様々な種類があり、彫刻方法によってお墓の印象も大きく変わります。
彫る場所や彫るモチーフによっても適した彫り方があるため、それぞれご紹介いたします。
彫り込み
最もポピュラーな彫り方がこの「掘り込み」になります。実際に文字を書く時と同じように止める位置や筆を下した位置を深く彫り込むことで強弱を表し、立体感を出すことができます。
陰影や強弱がはっきり出るため、味わい深い風合いも出せるのが掘り込みの特徴です。
平彫り
彫りの高さに高低差をつけず、均等に彫り上げる方法です。迫力は控えめですが、メリハリを出しながらも落ち着いたイメージになります。
高低差が無く水がたまりにくいため、プレート型などの平らなお墓に適している手法の一つです。
浮かし彫り
文字部分を浮かすように周囲を彫る方法です。彫った部分を彩色しなくても、文字をくっきりとみせることができます。
一般的に花立てや水鉢などに施す家紋の彫刻などによく使われます。石の素材を生かしつつ、模様を美しく際立たせることができます。
ヤゲン彫り
V字の彫刻刀で彫ったような深さの出る手法で、しっかりと陰影が出るため、文字に深い立体感が出るのが特徴です。梵字を彫る際によく使われる手法です。
手彫り彫刻の手法の一つですが、年々手彫りできる職人が減っており、高度な技術が必要となるため、費用が高くなる傾向にあります。
線彫り
「スジ彫り」ともよばれる細い線で輪郭のみを何本も彫っていく方法です。イラストやデザインによく使用される手法で、繊細な表現に適しています。
立体感を出すのは難しいですが、イラストなどは平面にそのまま書き写したように仕上げることができます。
霞彫り
外側の輪郭をはっきりと彫り、文字の中を彫り込まない方法です。文字にサンドブラストを吹き付けるため、高級感を出すことができます。
影彫り
模様一つ一つを専用のノミで点刻をつけ、強弱をつけることで写真のようなリアルな陰影をつけることができます。
ただし、この技術を持つ職人が少ないため、費用は高額になる傾向があります。
戒名を墓石に彫るタイミング
戒名を墓石に彫る時期に期限はありませんが、一般的には四十九日法要の納骨式に間に合うよう依頼されるケースが多いといわれています。
作業には数週間かかる場合が多いので、余裕をもって依頼しておきましょう。生前戒名の場合は赤字を抜く作業のみになります。
まとめ
今回は墓石に刻む文字について解説しました。
墓石に刻む文字には特に決まりはなく、故人のイメージに合った言葉や漢字、遺族からのメッセージなどが彫刻されることが多いです。一般的なお墓の場合は、風習なども考慮しながら彫刻すると良いでしょう。
また、お墓の形や種類だけでなく、彫刻方法や書体によってもお墓のイメージは大きく変わります。費用や地域での風習など、細かい疑問点がある場合は墓地の管理者や字彫り業者さんに確認すると安心です。
涙そうそうでは、お墓の彫刻・追加彫りに関するご相談を全国で受け付けております。260社以上の石材店さんと提携しており、ご依頼があったエリアに対応できる業者さんをご紹介いたします。
弊社が窓口となり、安心・安全なお墓の彫刻・追加彫りをお手伝いいたします。
